日本の実質賃金が上がらないのはなぜ? ピケティも絶賛の「緊縮資本主義」著者が暴く、経済学者とエリートの「危ない正体」

実質賃金が停滞する背景には、何があるのでしょうか(写真:northsan/PIXTA)
長らく伸び悩む日本の実質賃金。その根本原因はどこにあるのか? 気鋭の経済史家クララ・E・マッテイ氏が、賃金抑制のカラクリと、そこに深く関わる経済学者やテクノクラートの役割を徹底解明した画期的な新刊『緊縮資本主義:経済学者はいかにして緊縮財政を発明し、ファシズムへの道を開いたのか』が、このほど上梓された。現代の日本にも通じる「緊縮」の知られざる歴史と構造とは。同書に収録された、中野剛志氏による「日本語版解説」の一部を掲載する。
当代きっての研究者たちが絶賛する「知の衝撃」
本書は、気鋭の経済史家クララ・E・マッテイによる革命的な野心作である。
原著の発刊時(2022年)、マッテイは、アメリカのニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチ経済学部の准教授であった。2025年2月からは、タルサ大学経済学部教授に就任し、同大学の異端派経済学研究センター長を務めている。
本書を「革命的」と評したのは、それが研究として斬新であるというだけではなく、資本主義に対する見方を大きく変え、社会変革の導きとなる可能性を秘めているからである。決して誇張ではない。
実際、本書には、トマ・ピケティ、ジェームズ・ガルブレイス、ロバート・スキデルスキー、マーク・ブリス、マリアナ・マッツカート、ヤニス・バルファキスといった当代きっての研究者たちがこぞって賛辞を寄せているのである。
そして、マッテイもまた、いずれ間違いなく「当代きっての研究者たち」の一人に数えられることとなるであろう。
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