新自由主義を推し進めていれば、日本は失われた30年を回避できたのか。それは最善の経済体制か、それとも問題だらけのしくみか

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全人類の教養大全1
私たちが生きているのはかなり特異な世界(写真:kai/PIXTA)
新自由主義を標榜するようになって、日本は失われた30年に突入して経済は停滞し、今や1億総貧乏になってしまった……。こんな言説がまことしやかにささやかれている。多くの日本人も同調するに違いないが、本当だろうか。
新自由主義は人類が考えだした最善の経済体制といわれており、そのシステムのなかで経済成長している国々もたくさんある。税金と規制が少ないので、国と企業が競争力をつけることができ、経済全体が成長するという特徴がある。
しかし多くの人が「経済成長重視のシステム」を歓迎する一方で、新自由主義にも問題はある。
韓国で教養ブームを巻き起こし300万部のミリオンセラーとなった『全人類の教養大全1』著者のチェ・ソンホ氏は、ある見方を提示する。

人類が考えた現時点での最善の経済体制

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初期資本主義は、市場の自由だけが存在する経済体制だ(注:封建社会末期から資本主義が確立するまでの資本主義。工場などの生産手段を所有する資本家と、生産手段を持たず資本家から賃金をもらう労働者が生まれた。労働者の立場が弱く、貧富の格差が大きくなるしくみ)。

後期資本主義は初期資本主義の問題点に打ち勝つために生まれた。市場の自由を減らして、政府が市場に積極的に介入する経済体制である。

初期資本主義と後期資本主義につづいて、3番目に生まれた新自由主義は、シカゴ学派(20世紀中ごろからシカゴ大学の経済学者らが発展させた学派)が主導した。

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