税金を払いたくないのは誰でも同じ。では「金持ちはたくさん税金を払え!」は、多数派の大衆による、少数派の富裕層に対する権利侵害か?

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せっかく努力で手にしたお金をなぜ奪われるの?(写真:Yuri Arcurs Peopleimages/PIXTA)
お金持ちほど払う税金が多くなる累進課税は、現在、多くの国で採用されている。世界的に見て「所得による格差をなくし、税金によって再分配を保つ」ことが正当だとされている。
一方で、この「お金持ちほどたくさん税金を払って当たり前」という考え方に反対する人々もいる。せっかく稼いだ分を税金で持っていかれてしまう超富裕層の人たちにとっては苦々しい制度だろう。
世界で300万部のベストセラーになった全人類の教養大全1の著者で作家のチェ・ソンホ氏は、興味深い思考実験を提示する。
「『累進課税は全体主義である』と主張する、税金を払いたくないお金持ちに、どう反論すればいい?」
お金持ちの言い分には一理あるのか、ないのか、一緒に考えてみてほしい。

民主主義社会では、資本家も搾取される?

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リベラルは保守に比べて倫理の部分で一般的に大きな支持を受けている。なぜならリベラルが守ろうとする対象じたいが労働者や低所得者、庶民、社会的弱者など、資本家に比べて社会的に弱い立場にいるからだ。

理論的な面では、リベラルが権力を握るのにさらに有利になる。それは僕たちがよく知っているように、資本家はいつでも少数であって、労働者は多数だからだ。

1人1票が与えられる民主制社会では、リベラルがいつも有利な立場にいる。数的優位で勝ったリベラル政権は、労働者の権利と利益を代弁しつづけることになる。

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