「院長個人も破産」「資金繰りが相当苦しい」という状況も…。《診療所》経営事業者の「倒産」が高水準で推移する"2つの真因"

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診療所の経営事業者の倒産が高水準で推移している。本稿ではその理由を分析する(画像:Pressmaster / PIXTA)
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かかりつけ医として軽い病気・怪我の治療や健康相談などを担う身近な存在の「診療所(クリニック)」。その経営事業者の倒産(法的整理、負債1000万円以上)が高水準で推移している。

下図を見てほしい。2000年以降、年間20件に達することはほぼ無かったが、19年から増えはじめ、24年には年間31件と過去最多を更新。25年は10月までに22件となり、通年では26件前後となる見通しだ(※倒産件数とは倒産した事業者数であり施設数ではない)。

倒産件数
(画像:帝国データバンク提供)

また、廃業や解散・休業という形で事業を停止した診療所経営事業者は、倒産した事業者よりもはるかに多く、近い将来に年間で1000件に達する可能性がある。

増え続ける赤字施設…“倒産の2つの真因”

病院は病床数20床以上の施設を指すのに対し、診療所は19床以下の施設を指す。

厚生労働省のデータによると、全国の診療所施設数(有床・無床の合計)は25年7月末時点で10万5456施設。実は、5年前の20年7月と比較すると2646施設、10年前の15年7月からは4588施設増加している。

診療所は、病院(25年7月末時点で8007施設)や歯科診療所(同6万5672施設)と比べてはるかに数が多く、同業者間の競争がもともと激しい業態だ。

ただ、民間企業などと比較して業績が景気等によって左右されにくいため、学校法人などと並んで倒産件数が少ない代表的な業種のひとつとなっている。

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