「院長個人も破産」「資金繰りが相当苦しい」という状況も…。《診療所》経営事業者の「倒産」が高水準で推移する"2つの真因"
25年は6月末までに339件確認されており、通年で過去最多を更新するのはほぼ確実な状況となっている。
件数が急増し続けている大きな要因は、後継者のいない経営者の高齢化(病気・死亡含む)が進んでいることにある。
それに加え、近年の物価・賃金高騰によって収益性が悪化し、「これからも赤字が続くのであれば早いうちにやめてしまおう、売ってしまおう……」と、前倒しの廃業を考える経営者が急速に増えていることも一因として考えられる。
件数は今後増加の一途を辿り、早ければ28年、遅くとも30年には年間1000件に達すると見られる。
競争はますます熾烈になるだろう
診療所経営事業者の倒産件数と廃業・解散・休業件数が増加することに伴い、数多くの事業者が消滅しているはずなのに、診療所の施設数は過去5年間で2646施設も増加している。なぜなのか。
新設された医療法人の数を帝国データバンクが調べたところ、23年は1256法人、24年は1178法人あることがわかった。各法人が経営する主たる業態(病院、診療所、歯科医院など)は判明していないものの、大半は診療所経営を目的とした法人であるとみられる。新設された法人が手がける診療所施設は、時間の経過とともに2施設、3施設と増えていくはずだ。
また、倒産や廃業に伴い事業を同業他社などへ譲渡(M&A含む)することで一定数の施設が存続し続けるケースもある。こうしたことから現時点では「消滅施設数」よりも「新設施設数+存続施設数」のほうが多い状態になっているとみられる。
施設数の継続的な増加により、ますます競争が熾烈になっている診療所業界。収益悪化を理由に各種経費の削減を進めれば、患者だけでなくスタッフも離れる事態を招き、さらに業績が悪化するリスクもある。
今、診療所の経営者たちは、患者・従業員数を維持しながら、物価高や賃上げなどにも対応していく“難しい両立”に迫られている。
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