〈エスコンお膝元の街のリアル〉北海道北広島市は「ボールパーク周辺の独り勝ち」状態から変われるか 最大顧客失った"札幌ドーム"の厳しい現実

北海道日本ハムファイターズの本拠地・エスコンフィールドHOKKAIDO(北海道北広島市)。球場から1.6kmほど離れたJR北広島駅は、ナイターゲームが始まる3時間以上前からにぎわいを見せ始める。
ある人は駅周辺のカフェでくつろぎ、ある人はバスで、ある人は徒歩でのんびり駅から球場に向かう。札幌の中心部から来場した20代の女性は、「お酒も楽しいが、球場のラーメンがおいしいので、楽しみに来た」と言う。
球場内の「裏路地ラーメンテラス」には6つのラーメン店が軒を並べる。7月には3店舗が入れ替わり、新しい味を提供している。
つねに「新しい何か」を提供し、人を集めるエスコンフィールドだが、球場から離れた市内のある飲食店主は「お客さんが増えたのは駅や球場周辺だけ。球場がよくなるほど、お客さんは外に出てこなくなる。われわれにとっては渋滞や迷惑駐車が増えただけだ」とこぼす。
7割超の市内事業者に波及効果は浸透せず
三菱UFJリサーチ&コンサルティングは2024年2月に公表したレポートで、エスコンフィールドを含むボールパーク「Fビレッジ」が北広島市にもたらす経済効果は年間500億円超、周辺の地価上昇率は150%以上とはじきだした。
ただ、その効果は「Fビレッジおよび周辺エリア」の消費増がもたらすものだ。2024年に北広島商工会が市内の事業者に新球場開業後の売り上げの増減をたずねたところ、回答した98社のうち7割以上が「変わらない」あるいは「減った」と答えている。
こうした現状を、地元の北広島市はどう受け止めているのか。ボールパークを推進してきた北広島市の川村裕樹副市長は、「ボールパークをちゃんと商売に結びつけている人もいれば、旧態依然として背を向けている人がいるのも事実」との認識を示したうえで、次のように続ける。
「誤解を恐れずに言えば、そこはいい意味で整理されていくと思う。市から情報は公平にどんどん発信していくが、その先の行動がとれるかは、各事業者のマインド次第だ」
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