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議員定数削減法案先送りで自維連立に早くも暗雲、日本維新の会台頭の原点となった2012年の自民党政権奪還衆議院選挙の陰で起きていたこと

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2012年衆院選で自民党は圧勝し、民主党から政権を奪還した(撮影:梅谷秀司)
日本維新の会が求める衆議院の定数削減法案の提出が年明け以降に持ち越された。この法案をめぐっては、野党からの強い反発を招いただけでなく、自民党と維新の同床異夢も浮き彫りになった。これまでのところ高い支持率を維持する高市内閣だが、維新との関係は今後の火ダネとなる恐れが十分にある。国会での過半数確保に腐心する高市内閣にとって頭の痛いところだ。
その維新の会が国会で議席を伸ばし、国政で存在感を示したのが2012年の衆議院選挙だった。この選挙は自民党が過半数を獲得して民主党から政権を取り戻したことで政治史に刻まれるが、維新の台頭という意味でも特筆されるべき選挙になった。
この選挙の裏側と維新台頭の意味を、当時自民党の事務局長だった久米晃氏が読み解く。

――維新の肝いりの定数削減法案提出は年明け以降に先送りとなりました。衆議院の議席(465)の1割にあたる45議席(小選挙区25、比例代表20)を削減するこの法案について、どう考えますか。

2025年の政局はどう動くのか――。選挙の神様、久米晃氏が自民党政権の命運をその裏面史から読み解いていく

定数を減らすのなら、減らすなりの根拠があるべきだ。当初は比例を50議席削減といい、野党の反対が強いとみると、一転して小選挙区25議席、比例20議席とするなんて、こんな無茶苦茶な法律はない。維新は現在の衆議院議員の定数から1割減らすというが、その1割の根拠はいったい何か、説得力ある説明も議論もない。

ヨーロッパ各国の国会議員の定数と比較すると、人口比率で日本はヨーロッパ︎各国の議員数と比べても多くはない。100万人当たりの国会議員数はG7のうち5番目だという。

日本の国会議員の数は世界的にみても多いわけではない。なぜ定数削減にこだわるのか理解できない。年明けの国会に法案を提出したところで、通らないのではないか。

――定数削減を争点に早期に解散をするという見方も一部にあります。

あり得ない。維新以外の各党はどこもやらなくていいと思っているわけだから。それよりも、まずは景気対策や経済対策でしっかり結果を出すことが先決だ。それができない限り解散は打てないのではないか。支持率が高いうちに解散したほうが良いとの声も聞かれるが、過去にご祝儀相場で解散したケースなどない。どの内閣も結果を出してからやっている。

中国との関係においては、いかにも高市首相らしさを前面に出しているが、それ以外のことについては維新や野党の要求に応じて妥協を重ねている印象だ。高市首相らしさが薄まっていくと、いまは強力に支持している人たちも失望していくことになるのではないか。

解散するなら争点が欠かせない

何より、解散するには争点作りが必要だ。2005年の郵政選挙で圧勝した小泉純一郎首相は選挙にものすごく強かったように思われているが、就任2年後の03年の衆院選では、議席を減らして民主党の躍進を許している。05年の衆院選で圧勝したのは、郵政改革という争点を作ることができたからだ。高市首相にそれができるだろうか。

いまのところ、彼女の周囲によい参謀が見当たらない。高市内閣に招いた安倍政権時代の参謀も、高市首相から距離を置き始めていると聞く。下手をすると、ズルズルと解散を打てないまま自民党の総裁任期満了の再来年の9月までいってしまうかもしれない。

来年の暮れに茨城県の県議会選挙があるが、それが高市内閣の先行きを占う先行指標となるのではないか。

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