――維新の肝いりの定数削減法案提出は年明け以降に先送りとなりました。衆議院の議席(465)の1割にあたる45議席(小選挙区25、比例代表20)を削減するこの法案について、どう考えますか。
定数を減らすのなら、減らすなりの根拠があるべきだ。当初は比例を50議席削減といい、野党の反対が強いとみると、一転して小選挙区25議席、比例20議席とするなんて、こんな無茶苦茶な法律はない。維新は現在の衆議院議員の定数から1割減らすというが、その1割の根拠はいったい何か、説得力ある説明も議論もない。
ヨーロッパ各国の国会議員の定数と比較すると、人口比率で日本はヨーロッパ︎各国の議員数と比べても多くはない。100万人当たりの国会議員数はG7のうち5番目だという。
日本の国会議員の数は世界的にみても多いわけではない。なぜ定数削減にこだわるのか理解できない。年明けの国会に法案を提出したところで、通らないのではないか。
――定数削減を争点に早期に解散をするという見方も一部にあります。
あり得ない。維新以外の各党はどこもやらなくていいと思っているわけだから。それよりも、まずは景気対策や経済対策でしっかり結果を出すことが先決だ。それができない限り解散は打てないのではないか。支持率が高いうちに解散したほうが良いとの声も聞かれるが、過去にご祝儀相場で解散したケースなどない。どの内閣も結果を出してからやっている。
中国との関係においては、いかにも高市首相らしさを前面に出しているが、それ以外のことについては維新や野党の要求に応じて妥協を重ねている印象だ。高市首相らしさが薄まっていくと、いまは強力に支持している人たちも失望していくことになるのではないか。
解散するなら争点が欠かせない
何より、解散するには争点作りが必要だ。2005年の郵政選挙で圧勝した小泉純一郎首相は選挙にものすごく強かったように思われているが、就任2年後の03年の衆院選では、議席を減らして民主党の躍進を許している。05年の衆院選で圧勝したのは、郵政改革という争点を作ることができたからだ。高市首相にそれができるだろうか。
いまのところ、彼女の周囲によい参謀が見当たらない。高市内閣に招いた安倍政権時代の参謀も、高市首相から距離を置き始めていると聞く。下手をすると、ズルズルと解散を打てないまま自民党の総裁任期満了の再来年の9月までいってしまうかもしれない。
来年の暮れに茨城県の県議会選挙があるが、それが高市内閣の先行きを占う先行指標となるのではないか。




















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