「エスコン」が覆したアリーナ・スタジアムの経営概念 トヨタアリーナも手本に、改革のDNAは東京にも浸透…新駅、マンション建設でどう変わる?

10月3日、東京・青海に開業するトヨタアリーナ東京。オーバル(楕円)型のアリーナは客席がコートに近く、選手の熱気が間近に伝わってくる。贅沢なラウンジやテラススイートも多数設けられ、スポーツ観戦だけでなく、ビジネスや音楽イベントなど多彩な用途で活用できる施設だ。
「いろんな感動、熱狂を呼ぶキャンパスができた。みなさんと一緒にそれをつくっていきたい」。開業記念式典に出席したトヨタ自動車の豊田章男会長は、そうあいさつした。
トヨタアリーナ東京は、トヨタグループ傘下のプロバスケットボール・Bリーグチーム、アルバルク東京の本拠地となる。土地をトヨタ自動車が、施設をトヨタ不動産が所有し、運営はアルバルク東京が担う「クラブ・アリーナ一体型」の経営形態だ。開業に先だって東洋経済の取材に応じたアルバルク東京の林邦彦社長は、「チームとアリーナの一体経営でこそ、チームの価値が最大化される」と語った。
一体経営の“手本”として研究
アルバルク東京は渋谷区の国営代々木競技場第一体育館をホームアリーナにしていたが、国立の施設でもあり、ブッキングは1年前からしかできず、物販や施設内での演出にも制限がかかるなどの課題があった。

一方でアルバルクのホームゲームは年間30日。残り300日以上の穴埋めが経営のカギになる。音楽イベントやeスポーツの大会はもちろん、巨大なハングビジョンを使った企業の表彰式などのニーズも取り込んでいくという。
「アルバルクの試合でも、ゲームだけ見に来る観客は実はそう多くない。最後の5分だけ試合で盛り上がり、それまでは食事を楽しんだり、お酒を飲んだりして仲間と一緒に語り合う場になっている。われわれはむしろアリーナがそうした場になることを目指している」(林社長)
林社長は三井物産出身。広島東洋カープや中日ドラゴンズのマーケティングや施設管理などを手がける三井物産フォーサイトへの出向をきっかけにトヨタ側から依頼があり、アルバルク東京の社長に就任した。
その林社長が、「クラブ・アリーナ一体経営」の手本として深く研究したスタジアムがある。2023年3月に開業した北海道日本ハムファイターズの本拠地、エスコンフィールドHOKKAIDO(北海道北広島市)だ。
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