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「エスコン」が覆したアリーナ・スタジアムの経営概念 トヨタアリーナも手本に、改革のDNAは東京にも浸透…新駅、マンション建設でどう変わる?

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エスコンフィールドを含む北海道ボールパーク「Fビレッジ」は開業前の2021年、政府が進める「スタジアム・アリーナ改革」の先行モデルに認定された。2016年に当時の安倍政権が「スポーツの成長産業化」を掲げ、柱の1つに据えたのが、地域活性化の拠点としてのスタジアム・アリーナの改革だった。

これまで赤字が当たり前だったスタジアムやアリーナを「稼ぐ施設」に変革し、2015年に5.5兆円しかなかったスポーツ市場を2025年に15兆円に拡大することを目論んだ。その改革の先頭を走ってきたエスコンフィールドには、今でも全国から引きも切らず視察団が訪れる。

ファイターズは2004年に本拠地を東京ドームから札幌ドーム(札幌市)に移したが、公共施設ゆえの運用面での硬直性に耐えきれず、自前のスタジアム建設を決断。札幌市と北広島市の激しい誘致合戦の末、野原が広がるだけだった「きたひろしま総合運動公園」に、総事業費600億円の新スタジアム建設が決まる。

球場直結の新駅設置が2028年にずれこむことで交通の混乱が懸念され、開業直前にはファウルゾーンの幅が公認野球規則に違反しているとの指摘を受ける波乱もあった。それでも開業後の集客は順調だ。

札幌市南部に住むある市民は、「札幌ドームの客席の急勾配がつらかったので、ゆったりした客席は居心地がいい。バスは並ぶし混んでいるけれど、試合が終わってからミニライブがあったり、飲食も楽しめたりするので、むしろ楽しい」と絶賛しきりだ。

リピート来訪が増え業績は想定以上に

開業から2年半が経ち、具体的な経営成績はどうか。

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