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平和や安定は「回転する独楽」/E. H. カー『平和の条件』を読む(上) 平和とは動的安定であって、努力なく維持し続けられるものではない。

E. H. カー『平和の条件』中村研一 訳/岩波文庫
エドワード・ハレット・カー(1892〜1982年)は英国ロンドン生まれで、ケンブリッジ大学卒業後、16〜36年に英外務省、第2次世界大戦勃発直後からの7カ月情報省に勤めたほか、ウェールズ大学教授やタイムズ編集委員として活躍した。ロシアに関する著書の数々でも知られる人物だ。
歴史に詳しい読者や歴史学専攻の大学生なら、本書よりむしろ『歴史とは何か』の著者としてその名を記憶にとどめているかもしれない。だがカー本人は、第2次大戦中に自らの存在理由や責務を模索しながら執筆した本書に大きな意義を認めており、彼の著作群の中で「読者にいちばん歓迎された」のも本書だったとか。
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