「トレンドスポッター」が語る2038年の未来社会 『2038年のパラダイムシフト』など書評4点

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ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『2038年のパラダイムシフト 人生・社会・技術』

・『日本思想史と現在』

・『大油断 日本が陥る史上最悪のエネルギー危機』

・『江戸の憲法構想 日本近代史の“イフ”』

『2038年のパラダイムシフト 人生・社会・技術』マリアン・ソールツマン 著
『2038年のパラダイムシフト 人生・社会・技術』マリアン・ソールツマン 著/江口泰子 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎

変化を厭(いと)う日本社会も20年前に比べ変容した。電車の改札ではスマホをかざすだけ。映画館も座席指定のうえ事前にスマホ決済。レストランの予約や支払いもスマホさえ持っていれば事足りる。外出嫌いの人もネット配信で映画鑑賞できるし、食事もスマホでケータリング可能だ。

トレンドスポッターが注目する デジタル化、気候変動、人々の意識

本書は、過去20年を振り返り、20年後の未来社会を占う。著者の職業は、新たな変化を見つけ、次に何が起きるのか予測し、優位に立つための情報を人々に知らせるトレンドスポッターだ。今後のメガトレンドを生むのは、デジタル化、気候変動、コロナ禍を契機とする人々の意識変容だというが、評者も同意見だ。

20年前はデジタル技術による社会のリベラル化の加速が期待されたが、今やほとんどの先進国で分断が広がる。デジタル化が生んだ未曽有の経済格差と左右対立のみならず、高等教育を受けたエリートと非エリートとの軋轢は深刻だ。米国教育現場での銃乱射事件発生は象徴的だが、テロは世界各地で起こっている。

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