「近代社会の疫病」か?「孤独」という概念の来歴 『私たちはいつから「孤独」になったのか』など書評4点

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ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『私たちはいつから「孤独」になったのか』

・『解(ほど)けていく国家 現代フランスにおける自由化の歴史』

・『西行 歌と旅と人生』

・『新・宇宙戦争 ミサイル迎撃から人工衛星攻撃まで』

『私たちはいつから「孤独」になったのか』フェイ・バウンド・アルバーティ 著
『私たちはいつから「孤独」になったのか』フェイ・バウンド・アルバーティ 著/神崎朗子 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・医療社会学者 渡部沙織

「孤独(ロンリネス)」は「21世紀の疫病」とも呼ばれ、今日の社会では人間の心身や健康に顕著な影響を与える要因として知られている。これまで多くの公衆衛生や医学・疫学の研究が、その事実を確たるものとして裏付けてきた。日本でも、とくに高齢者の「社会的孤立」は厚生行政において予防や介入の対象となっている。

だが、人の身体・感情の歴史研究を専門とする著者によれば、われわれが現代人の社会的病理だと認識している孤独には、歴史的な経緯があるという。

孤独は「近代社会の疫病」か? 人々を振り回す概念の来歴

今日的な孤独の概念は近代以降、19世紀初頭ごろの欧米で登場した。本書は、中世的な封建社会の終焉と産業化・都市化の進行によって「個人」が台頭し、同時期に孤独がメディアや政治的空間に頻繁に登場するようになった経緯を解明していく。

本書では、「孤独は必ずしも悪いものではない」というポジティブな側面も描き出される。かつて「ソリチュード」は個人の幸福を見いだすための隠遁(とん)を指し、西洋の思想家や芸術家らはそれを精神的修養の手段としていた。孤独は、創造性や心の癒やしをもたらすこともあるのだ。

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