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〈書評〉『江藤淳と加藤典洋 戦後史を歩きなおす』『わかりあえないイギリス 反エリートの現代政治』『となりの史学 戦前の日本と世界』

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ブックレビュー『今週の3冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『江藤淳と加藤典洋 戦後史を歩きなおす』

・『わかりあえないイギリス 反エリートの現代政治』

・『となりの史学 戦前の日本と世界』

『江藤淳と加藤典洋 戦後史を歩きなおす』與那覇 潤 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・ジャーナリスト 会田弘継

戦後80年である。だが、まだあれこれ折り合いがつかない。

江藤淳と加藤典洋はそうした戦後の折り合いのつかなさと生涯苦闘し続けた、代表的な文芸評論家だ。彼らの批評とその対象作品をたどりながら、戦後精神史を精緻に描く好著である。

戦前と戦後はつながりうるか 戦後精神史を精緻に描く

東洋経済オンラインの愛読者に読んでほしい本を一気に紹介。【土曜日更新】

著者は、闘病中の加藤典洋(2019年没)から、生前最後の刊行となった文庫版『太宰と井伏』の解説を手紙で依頼された。一面識もなかったが、著者自身の闘病記に加藤が目を留めての依頼だったという。2人は直接出会うことなく加藤は逝った。

本書は、太宰治『斜陽』(1947年)を「戦後」にあらがおうとした作品として描くところから始まる。三島由紀夫も江藤も太宰の本質を見抜けず作品を軽視したが、結局2人とも太宰同様「戦後」に敗れ自死に至った、と著者はみる。

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