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〈書評〉『コロナ対策の政策評価 日本は合理的に対応したのか』『世界標準の採用』『今さら聞けない 日本政治の超基本』

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ブックレビュー『今週の3冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『現代経済解説シリーズ コロナ対策の政策評価 日本は合理的に対応したのか』

・『世界標準の採用』

・『正しくニュースを理解するために 今さら聞けない日本政治の超基本』

『現代経済解説シリーズ コロナ対策の政策評価 日本は合理的に対応したのか』岩本康志 著
『現代経済解説シリーズ コロナ対策の政策評価 日本は合理的に対応したのか』岩本康志 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎

日本はコロナ禍に適切に対応したのか。将来のパンデミックへの教訓とすべく、日本を代表する経済学者が政策対応を検証した。論点は2つ。科学的根拠に基づく対策を選択したか、経済学的視点で効果と費用を考慮して対応したか、である。

科学的根拠に乏しい対応 経済学的にも甘受しえない費用

東洋経済オンラインの愛読者に読んでほしい本を一気に紹介。【土曜日更新】

2020年4月7日、当時の安倍晋三首相は、疫学の専門家集団の提言を基に緊急事態宣言を発出した。専門家たちは「感染症数理モデル」を前提に新規感染者数の目標を設定し、政策決定に際して「接触機会を最低7割、極力8割削減すれば、2週間後に感染者の増加はピークアウトし、クラスター対策による封じ込めが可能」という科学的根拠を与えたはずだった。

しかし驚くべきことに、本書第Ⅰ部は「接触8割減のシミュレーション」に誤りがあったと明らかにする。目標である「新規感染者」の数字が、「感染者数全体」の数字と混同されていたのだ。正しいシミュレーションを基にすれば、接触機会7割減でも効果は十分得られたそうだ。

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