自民党支配に挑んだ、改革派政治学者・悔悟の書 『民主主義へのオデッセイ』など書評4点

✎ 1〜 ✎ 433 ✎ 434 ✎ 435 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『民主主義へのオデッセイ 私の同時代政治史』

・『なぜ日本は原発を止められないのか?』

・『2040年の日本が直面する危機と“希望” 「働き手不足1100万人」の衝撃』

・『経済学オンチのための現代経済学講義』

『民主主義へのオデッセイ 私の同時代政治史』山口二郎 著
『民主主義へのオデッセイ 私の同時代政治史』山口二郎 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・東京都立大学准教授 佐藤 信

行動する学者への評価は、現代の学界において高くない。科学的知見を積み上げ、その提供をもって社会貢献すべきだ、と考える(あるいはそう偽装する)研究者がほとんどだ。そんな中、行政学者として優れた業績を持ちながら、自民党が支配する戦後政治システムを改革しようと行動してきた山口二郎は異質な存在である。

自民党支配に運動家として挑んだ改革派政治学者による悔悟の書

「同時代政治史」と銘打たれた本書は不思議な本だ。1989年以降の日本政治史を網羅的に分析しながら、運動家としての「敗北」の歴史が豊かに描き込まれる。肝はなんといっても彼の日記からの引用だ。

読み進めるほど政治への関与は生々しくなっていく。多様な党派との付き合いがあるが、なかでも社会党には、しばしば幻滅させられながらも、希望を寄せて関わり続けた。社会党首班の村山富市政権では首相のブレーンになる一方、現実路線を志向して離党するグループの結党宣言まで起草していたという。

関連記事
トピックボードAD