[Book Review 今週のラインナップ]
・『人種差別主義者たちの思考法 黒人差別の正当化とアメリカの400年』
・『ドキュメント 異次元緩和 10年間の全記録』
・『10代からの政治塾 子どもも大人も学べる「日本の未来」の作り方』
・『極東のシマフクロウ 世界一大きなフクロウを探して』
評者・早稲田大学教授 柿沼陽平
欧米の歴史(とくに米国)は、黒人差別の歴史と切り離して考えることができない。それは、遠く日本の高等学校でも学ぶ周知の事柄だ。人種差別に対する問題意識の歴史も決して新しくはない。にもかかわらず、なぜ人種主義(レイシズム)反対運動は従来ことごとく未完に終わったのか。
正当化されてきた人種差別 歴史家が提言する根絶への道
本書は、この問題を包括的に扱う。著者は米ボストン大学の教授で、2020年に同大学に反人種主義研究・政策センターを設立した俊秀だ。
5部立てで、部ごとにピューリタンの教役者、コットン・マザー、第3代米国大統領、トーマス・ジェファーソンといった著名な人物が取り上げられる。議論は、彼らの生きた時代の背景を論ずる形で進む。
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