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〈書評〉『不平等・所得格差の経済学』『世界秩序が変わるとき』『希望格差社会、それから』

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ブックレビュー『今週の3冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『不平等・所得格差の経済学 ケネー、アダム・スミスからピケティまで』

・『世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ』

・『希望格差社会、それから 幸福に衰退する国の20年』

『不平等・所得格差の経済学 ケネー、アダム・スミスからピケティまで』ブランコ・ミラノヴィッチ 著
『不平等・所得格差の経済学 ケネー、アダム・スミスからピケティまで』ブランコ・ミラノヴィッチ 著/立木 勝 訳/梶谷 懐 解説(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・明治学院大学教授 岡崎哲二

ブランコ・ミラノヴィッチは、所得分配・経済的不平等について、『大不平等 エレファントカーブが予測する未来』をはじめ多くの著作を出版してきた。本書は、経済的不平等に関する学説・思想の歴史的展開を18世紀から現在にわたって論じたものである。

6人の経済学者に着目 新たな知的基盤を提供する書

著名な6人の経済学者(ないし社会学者)について、各人の所得分配への見方に焦点を絞り、その思想と理論に1章ずつを割り当てて詳細に記述する。フランソワ・ケネー、アダム・スミス、デヴィッド・リカード、カール・マルクス、ヴィルフレド・パレート、サイモン・クズネッツである。クズネッツより後、1960年代以降の研究は1つの章でまとめて議論される。

この構成の仕方に加え、本書にはいくつかの重要な特長がある。第1は記述のバランスだ。一般に、学説史・思想史に関する著作は、①各学説の歴史的・思想的・学説的背景、②学説そのものの理論的な解釈を主な内容とし、著者の関心と能力に応じて重点の置き方が異なる。

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