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〈書評〉『課税と脱税の経済史』『会社と株主の世界史』『ナチスから美術品を守ったスパイ』

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ブックレビュー『今週の3冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『課税と脱税の経済史 古今の(悪)知恵で学ぶ租税理論』

・『会社と株主の世界史 ビジネス判断力を磨く「超・会社法」講義』

・『ナチスから美術品を守ったスパイ 学芸員ローズ・ヴァランの生涯』

『課税と脱税の経済史 古今の(悪)知恵で学ぶ租税理論』マイケル・キーン、ジョエル・スレムロッド 著
『課税と脱税の経済史 古今の(悪)知恵で学ぶ租税理論』マイケル・キーン、ジョエル・スレムロッド 著/中島由華 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・神戸大学教授 砂原庸介

以前、英国の共同研究者に、お土産でジャッファケーキという菓子をもらった。クッキーのような形でスポンジケーキの中にオレンジジャムが入り、それがチョコでコーティングされている。面白い菓子だと思って食べたが、本書によれば、これが一体何なのかをめぐる訴訟があったという。税率の高いビスケットと見なすべきか、税率の低いケーキかと。

私たちは、税をめぐって至るところに見えない線を引いている。ビスケットかケーキかという部外者にとっては微笑ましいものから、「103万円の壁」のように連日かまびすしい議論が続くものまで、その内容は多様だ。現代の日本で税を納める主体は基本的に個人だが、世帯や集落のようなコミュニティー単位での賦課を考えると、そこにも線引きの問題が出現する。

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