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〈書評〉『資本主義にとって倫理とは何か』『企業の通信簿』『まちは言葉でできている』

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ブックレビュー『今週の3冊』

[Book Review 今週のラインナップ]

・『資本主義にとって倫理とは何か』

・『企業の通信簿 カリスマCEOが2025年決算を斬る!』

・『まちは言葉でできている』

『資本主義にとって倫理とは何か』ジョセフ・ヒース 著、庭田よう子 訳、瀧澤弘和 解説(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・人文ライター 斎藤哲也

ビジネスでは「戦略」や「競争」という言葉が当たり前のように用いられる。だが、日常の道徳観に照らせば、他者を打ち負かすことを前提とした「競争」や、相手を出し抜く「戦略」は、肯定的な意味合いを持っていない。反道徳的と見なされかねない行動が、なぜ市場では受け入れられているのだろうか。

「競争」は悪なのか? 新たなビジネス倫理を問う

東洋経済オンラインの愛読者に読んでほしい本を一気に紹介。【土曜日更新】

本書はこの根本的な問い、すなわち「競争」を組み込んだ資本主義というシステムと「倫理」とがいかにして両立しうるのかを、倫理学、経済学、政治哲学などを横断しながら正面から論じた1冊だ。

著者の答えは、日常の道徳律をそのまま持ち込む天使の道でも、法さえ守れば何でもありとする悪魔の道でもない。その中庸として示すのが、本書の核心をなす「市場の失敗アプローチ」である。

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