
[Book Review 今週のラインナップ]
・『資本主義にとって倫理とは何か』
・『企業の通信簿 カリスマCEOが2025年決算を斬る!』
・『まちは言葉でできている』
評者・人文ライター 斎藤哲也
ビジネスでは「戦略」や「競争」という言葉が当たり前のように用いられる。だが、日常の道徳観に照らせば、他者を打ち負かすことを前提とした「競争」や、相手を出し抜く「戦略」は、肯定的な意味合いを持っていない。反道徳的と見なされかねない行動が、なぜ市場では受け入れられているのだろうか。
「競争」は悪なのか? 新たなビジネス倫理を問う
本書はこの根本的な問い、すなわち「競争」を組み込んだ資本主義というシステムと「倫理」とがいかにして両立しうるのかを、倫理学、経済学、政治哲学などを横断しながら正面から論じた1冊だ。
著者の答えは、日常の道徳律をそのまま持ち込む天使の道でも、法さえ守れば何でもありとする悪魔の道でもない。その中庸として示すのが、本書の核心をなす「市場の失敗アプローチ」である。





















