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〈書評〉『緊縮資本主義』『栄冠と絶望のリンク ロシアの天才スケーター カミラ・ワリエワの宿命』『円ドル戦争40年秘史』

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『今週の3冊』

[Book Review 今週のラインナップ]

・『緊縮資本主義 経済学者はいかにして緊縮財政を発明し、ファシズムへの道を開いたのか

・『栄冠と絶望のリンク ロシアの天才スケーター カミラ・ワリエワの宿命』

・『円ドル戦争40年秘史 なぜ円は最弱通貨になったのか

『緊縮資本主義 経済学者はいかにして緊縮財政を発明し、ファシズムへの道を開いたのか』クララ・E・マッテイ 著、中野剛志 解説、井坂康志 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎

「緊縮は階級的意図の産物」 非主流派による刺激的な主張

いかにして緊縮政策は資本最優先の秩序維持装置となったか──。第1次世界大戦後のイギリスとイタリアを舞台に描かれた衝撃の一冊だ。緊縮政策は経済学者や官僚集団によって制度化された。価値中立という経済学の論理の下、成長の源泉とされる資本蓄積が優先され、労働者が犠牲になったという。

東洋経済オンラインの愛読者に読んでほしい本を一気に紹介。【土曜日更新】

第1次大戦下の戦時統制で、労働者は賃金決定や生産管理への直接的関与を経験した。経済民主制の可能性が予感され、1920年前後には労働運動が高揚する。だが、政治の側は労働者の台頭を抑え込み、資本優先の秩序に戻そうと、財政、金融、産業の諸側面から緊縮策を採用した。緊縮は単なる財政再建の方策ではなく、労働者階級の力をそぐ政治的技術だったという。

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