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〈書評〉『GROWTH 「脱」でも「親」でもない新成長論』『「進歩」を疑う』『科学的に証明されたすごい習慣大百科』

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ブックレビュー『今週の3冊』
[Book Review 今週のラインナップ]
・『GROWTH 「脱」でも「親」でもない新成長論』
・『「進歩」を疑う なぜ私たちは発展しながら自滅へ向かうのか』
・『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード… 科学的に証明されたすごい習慣大百科 人生が変わるテクニック112個集めました』
『GROWTH 「脱」でも「親」でもない新成長論』の書影
『GROWTH 「脱」でも「親」でもない新成長論』ダニエル・サスキンド 著、上原裕美子 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・政策研究大学院大学教授 安田洋祐

2025年のノーベル経済学賞は「イノベーション主導の経済成長」を説明した研究者らが受賞することとなった。本書は、テクノロジーが社会に与える影響を専門とする気鋭の経済学者の著作で、今回のノーベル経済学賞受賞者の研究にも言及する。

重要なのは是非ではなく 成長をどの方向に進めるか

経済成長はしばしば機関車にたとえられる。運転席に座った政策立案者が出力を上げれば加速し、ブレーキをかければ減速する。成長を万能薬と見る成長主義と、減速を求める脱成長主義の対立は、この機関車の速度や操縦法をめぐる争いとして描かれてきた。

しかし本書は、この二項対立そのものを問い直す。両者は「敷かれた線路の上を走る」という前提を共有しているからだ。経済成長はその是非を問うものというよりは、むしろどの方向にも舵を切れる船のようなものであるのだと。

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