ウィキペディアタウン、目指すは観光・移住促進 『ウィキペディアでまちおこし』など書評3点

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ブックレビュー『今週の3冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『ウィキペディアでまちおこし みんなでつくろう地域の百科事典』

・『日本の経済政策 「失われた30年」をいかに克服するか』

・『科学がつきとめた疑似科学 「科学リテラシー」で賢く生き延びる』

『ウィキペディアでまちおこし みんなでつくろう地域の百科事典』伊達深雪 著
『ウィキペディアでまちおこし みんなでつくろう地域の百科事典』伊達深雪 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・校正者 牟田都子

学校図書館司書の著者はあるときから「デジタル世代への紙の本の普及に限界を感じ」ていた。

生徒の地域学習をサポートするために資料を集めても、子どもたちは目もくれず、インターネットを見ている。そんなときに知ったのが「町歩きをして図書館で調べたことをウィキペディアに書いていく」ウィキペディアタウンの存在だった。ウィキペディアに地域情報の項目を作り、出典を挙げておけば、それを読んだ生徒たちが図書館の本を手に取るのではないか。

かくしてウィキペディアン(ウィキペディアの執筆・編集者)・デビューを果たした著者は、さらに大勢を巻き込み、項目を充実させたいと考える。そして地元のまちおこしイベントと連携して、自らウィキペディアタウンを開催するのだ。ウィキペディアタウンそのものの魅力にのめりこんでいく日々の始まりだった。

目標は観光振興や移住促進 「編集活動」通じ地域力も強固に

人が「うちの町には何もない」と口にするときの「ない」とは、「存在しない」のではなく「まだ発見されていない」のではないか。歴史的遺構や伝統産業、知られざる偉人。その地域に暮らす人々さえ自覚していない「特筆性」を、まちを歩き、地元の図書館や教育機関と連携して掘り起こす。言ってみれば宝探しのような側面が、ウィキペディアタウンにはある。

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