移民と地域文化の関係、経済学はどう分析するか 『移民は世界をどう変えてきたか』など書評4点

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ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『移民は世界をどう変えてきたか 文化移植の経済学』

・『民間軍事会社 「戦争サービス業」の変遷と現在地』

・『ミステリな建築 建築なミステリ』

・『奄美でハブを40年研究してきました。』

『移民は世界をどう変えてきたか 文化移植の経済学』ギャレット・ジョーンズ 著
『移民は世界をどう変えてきたか 文化移植の経済学』ギャレット・ジョーンズ 著/飯嶋貴子 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・明治学院大学教授 岡崎哲二

「大航海時代」として知られる15世紀末以降、人類は大陸を超えた大規模な移動を経験した。この移民の動きが各地域の経済発展に対して持つ意味について、近年多くの研究が行われてきた。

単なる人の移動ではない 経済学は移民をどう分析するか

出発点となったのは、本書で紹介されている米ブラウン大学の経済学者、ルイス・パッターマンとデヴィッド・ワイルの論文だ。

彼らはDNA情報を用い、現代の世界各地域の人口について、その祖先が大移動の影響を受ける前の1500年に居住していた地域を同定、「移民マトリックス」を作成した。そしてこのマトリックスを基に、1500年時点で経済発展にとって望ましい経験を持っていた地域の人々の子孫が現在多く居住する地域は、より豊かであるという関係を見いだした。

パッターマンとワイルの研究は、経済発展のための条件が人の動きを通じて地域間を移動することを示した。それは、地理的な場所の属性に焦点を当ててきた従来の経済発展に関する研究に大きなインパクトを与えた。

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