経済成長の中、なぜ国家間に貧富の差が生じたか 『「経済成長」の起源』など書評4冊

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ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『「経済成長」の起源 豊かな国、停滞する国、貧しい国』

・『最後の海賊 楽天・三木谷浩史はなぜ嫌われるのか』

・『街場の成熟論』

・『世界を翔ける翼 渡り鳥の壮大な旅』

『「経済成長」の起源 豊かな国、停滞する国、貧しい国』マーク・コヤマ、ジャレド・ルービン 著
『「経済成長」の起源 豊かな国、停滞する国、貧しい国』マーク・コヤマ、ジャレド・ルービン 著/秋山 勝 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・神戸大学教授 砂原庸介

20世紀に入ってから、世界は急速に豊かになっていった。しかし、豊かな国・地域もあればそうでないところもある。違いはなぜ生じるのだろうか。

この問いに対して、特定の決定的な要因を挙げようとする研究は少なくない。本書でも取り上げられる、地理的条件や政治制度、文化的特徴、人口動態、植民地と搾取の経験は、それぞれの国・地域の経済成長を説明する重要な要因だと考えられる。

なぜ国家間に貧富の差があるのか 複数の要因から成長の文脈を探る

しかし本書は、さまざまな研究の成果を慎重に検討し、1つの要因に絞ることなく、複数の要因の組み合わせから、世界全体での経済成長の要因を探るものだ。それを踏まえたうえで、個別の国・地域の成長への含意を示していく。

世界全体での経済成長、というときに重要な意味を持つのは、北西ヨーロッパ、そして産業革命を起こした英国の経験である。著者たちの主張によれば、経済成長には権力を抑制できる政治制度を中心として、大規模な市場へのアクセス、労働の節約を動機づける実質賃金の高さといった前提条件がまず重要となる。そのうえで、英国とほかの国・地域とを分けたのは、科学的な知識を取り込む技術革新であったことが示唆される。

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