数式は登場せず、「問題解決志向」の統計学入門 『統計学の極意』など書評4点

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ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『統計学の極意』

・『「まちライブラリー」の研究 「個」が主役になれる社会的資本づくり』

・『円の実力 為替変動と日本企業の通貨戦略』

・『科学がつきとめた 中年太りのすごい解消法』

『統計学の極意』デイヴィッド・シュピーゲルハルター 著
『統計学の極意』デイヴィッド・シュピーゲルハルター 著/宮本寿代 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・神戸大学教授 末石直也

キャッチーなタイトルから抱くイメージとは裏腹に、本書は一流の研究者によって著された深い洞察に満ちた統計学の入門書である。

数式は登場させないスタイル 「問題解決志向」の統計学入門

著者のシュピーゲルハルターは、「逸脱度情報量規準」という指標の提案者として知られる統計学の理論研究者である。同時に、医療統計学の分野において優れた貢献を果たしてきた応用研究者でもある。そんな著者による本書は、数式が登場しない読み物のスタイルを取りつつも、統計学の基本概念を厳密性を損なうことなく解説している。

本書のいちばんの特徴は、著者の言葉を借りると「問題解決志向」という点にある。統計学の教科書では、一通り必要な道具(=数学)を勉強してから応用例を考えるというのが、ありがちなスタイルだ。対して本書は、つねに具体的な問題からスタートする。

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