「途方もない力」、国境をめぐる思索と旅の記録 『国境と人類』など書評4点

✎ 1〜 ✎ 439 ✎ 440 ✎ 441 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『国境と人類 文明誕生以来の難問』

・『ジェンダー史10講』

・『「思考法」の必読書50冊、1冊で図解してみた』

・『戦後政治と温泉 箱根、伊豆に出現した濃密な政治空間』

『国境と人類 文明誕生以来の難問』ジェイムズ・クロフォード 著
『国境と人類 文明誕生以来の難問』ジェイムズ・クロフォード 著/東郷えりか 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・ジャーナリスト 会田弘継

ベルリンの壁が崩壊して「歴史の終わり」が訪れ、世界は欧州を先頭に国境のない時代へ向かうはずだった。だが歴史は続いた。国境は消えず、むしろよりくっきりと引かれている。そんなことを強く意識させられたコロナ禍からウクライナ戦争に至る時代を背景とする、国境をめぐる思索と旅の記録だ。

国境が持つ「途方もない力」 ドキュメンタリー手法で描く

ジャーナリスト、歴史家として、著者は国境の地に足を運ぶ。その一方で史書をひもとき、専門家や活動家、国境の現場を取材したジャーナリストらと対話を重ね、思いをめぐらす。ドキュメンタリー番組を制作した経験と手法が生かされた本だ。

国境には途方もない力があると著者は言う。その片側では富が約束され、他方の側には確実な貧困がある。米・メキシコ国境では過去20年に、その魔法の線を越えようとして7000人以上が死亡した。

関連記事
トピックボードAD