複雑で巨大な公的年金、社会的合意はなされたか 『ルポ年金官僚』など書評4点

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ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『ルポ年金官僚 政治、メディア、積立金に翻弄されたエリートたちの全記録』

・『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』

・『宮澤喜一の足跡 保守本流の戦後史』

・『疑う力』

『ルポ年金官僚 政治、メディア、積立金に翻弄されたエリートたちの全記録』和田泰明 著
『ルポ年金官僚 政治、メディア、積立金に翻弄されたエリートたちの全記録』和田泰明 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・神戸大学教授 砂原庸介

「年金官僚」と呼ばれる人々を中心に、さまざまな人々が公的年金という巨大な制度にどう関わってきたかを詳述したルポである。

公的年金問題の扱いにくさ、幾多の苦闘、制度改革を描く

登場人物はいずれも年金に精通した人々だが、制度の複雑さを反映して、年金を今後どう運営するか、それどころか現在の年金をどう考えるかさえ、理解が一致するわけではない。多くの提案や論争を見てきた著者が、あとがきで、「全員と言っていい方々が、『自分が行ってきたことは正しかった』と考えている」と感じるのは、読者にも共有されるだろう。年金に関わってきた人々は、それぞれにやるべきことができなかったと考えたとしても、「間違っていた」とは感じていないのだ。

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