「就職氷河期世代」を貧困から救えるか…日本人の生活を左右する年金制度改正案の中身

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
(写真:kt-studio/PIXTA)

5年に1度の年金制度改革が、2025年に予定されている。3月中にも法案は国会に提出して、審議が開始される予定だが、少数与党となった自民党の一部には年金改革法案の国会審議を参院選後に先送りして、選挙への影響を最小限にしようと主張する議員も少なくない。

年金改正は現役世代にとっても、そして年金生活を現在している世代にとっても大きな問題と言っていい。年金制度改革の何が問題なのか……。厚生労働省が示している年金制度改正案の内容を検証しつつ、今後の年金制度がどうなるのか、考えてみたい。

就職氷河期世代の貧困を救う年金制度大改革?

日本の年金制度は、5年ごとに大きな改革が行われており、2009年には基礎年金の国庫負担分の割合を「3分の1」から「2分の1」に引き上げている。これによって年金の財源が安定して、長期に渡って年金制度は維持できると、与党は胸を張った。今回も、厚生労働省が出した年金改制度改革案が2023年12月に閣議決定されているが、簡単に紹介すると、ポイントは次の4つになる。

①厚生年金の一部を基礎年金に回すことの是非
②在職老齢年金制度の見直し
③標準報酬月額上限の引き上げ
④年収の壁への対応、その他

この中で最も問題となっているのが、①の「厚生年金の一部を基礎年金に回すことの是非」だ。基礎年金の財源基盤を底上げしようという改革案だ。基礎年金の財政は年々厳しいものになっており、遅かれ早かれ改革が必要と指摘されていた。周知のように、厚生年金は企業と従業員が折半し合って積み立てていくものだが、厚生年金の積立金の一部を基礎年金に回すことで年金の財源を強化しようという考え方だ。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事