理論信仰からデータ分析へ、経済学に起きた革命 『データにのまれる経済学』『1973年に生まれて』など書評4冊

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ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『データにのまれる経済学 薄れゆく理論信仰』

・『1973年に生まれて 団塊ジュニア世代の半世紀』

・『南海トラフ地震の真実』

・『ヒトラーの馬を奪還せよ 美術探偵、ナチ地下世界を往く』

『データにのまれる経済学 薄れゆく理論信仰』前田裕之 著
『データにのまれる経済学 薄れゆく理論信仰』前田裕之 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・名古屋商科大学ビジネススクール教授 原田 泰

経済学が変化しているという。数式で彩られた経済理論に代わって、実験経済学や、計量経済学の新たな手法を活用したデータ分析が主流となっている。経済学者たちは、ランダム化比較試験(RCT)などの分析手法を手に入れ、革命を起こした。

新たな手法を活用したデータ分析「経済学の革命」はなぜ起こったのか

かつては理論が主流であり、データは理論が正しいかを確認するものだった。どう確認するかといえば、計量経済学である。

例えば、ローレンス・クラインが開発したマクロ計量モデルでは、財政政策や金融政策の効果を数量的に理解できるようになった。これは、公共事業を景気対策と捉えるケインズ理論によるモデルを実証し、かつ、政策効果を数量的に評価するものである。

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