「公正な給与」は単なるコストでなく競争上の強み 『給料』『科学技術の軍事利用』など書評4冊

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ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『給料 あなたの価値はまだ上がる』

・『科学技術の軍事利用 人工知能兵器、兵士の強化改造、人体実験の是非を問う』

・『自然、文化、そして不平等 国際比較と歴史の視点から』

・『『安倍晋三  回顧録』公式副読本 安倍元首相が語らなかった本当のこと』

『給料 あなたの価値はまだ上がる』デイヴィッド・バックマスター 著
『給料 あなたの価値はまだ上がる』デイヴィッド・バックマスター 著/桐谷知未 訳/楠木 建 解説(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・経営共創基盤共同経営者 塩野 誠

「給料」はビジネス誌で人気のテーマだ。誰もが自分と他人の給与に多少なりと関心があるだろう。では、あなたは自分の給与を職責や能力に見合った適正なものだと思っているだろうか。

本書は給与を多様な角度から分析し、可能な限り「適正な給与」を定義しようとする。とはいえ、無味乾燥な計算が並ぶわけではない。やや多すぎるジョークを交えながら、給与の本質に迫っていく。

公正な給与は競争上の強みになる 給与設計のプロが示す「4つのP」

著者はスターバックスやナイキの給与業務に関わった経験を持つ。多国籍企業、米国企業の給与の仕組みに興味があれば、面白く読める。

本書によれば、競争の激しい業界で給与を得ている人の64%は、自分の給与が相場より低いと考えている。また、米国で50年前に一般労働者の30倍だったCEO(最高経営責任者)の給与は、現在では300倍にまで膨れ上がっているが、これはどうやって正当化すればよいのか。

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