あなたの「欲しい!」はどうつくられているのか マーケティング、情報の引き出し方など書評8冊

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[Book Review 今週のラインナップ]

・『「欲しい!」はこうしてつくられる 脳科学者とマーケターが教える「買い物」の心理』

・『産業変動の労働社会学 アニメーターの経験史』

・『元FBI捜査官が教える「情報を引き出す」方法』

・『水中考古学 地球最後のフロンティア』

[新書紹介 3分で4冊!サミングアップ]

・『検証 政治改革』

・『マツダとカープ』

・『女性自衛官』

・『「合戦」の日本史』

 

『「欲しい!」はこうしてつくられる 脳科学者とマーケターが教える「買い物」の心理』マット・ジョンソン、プリンス・ギューマン 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・北海道大学大学院教授 橋本 努

最近のマーケット戦略について、脳科学者と経営学者が総合的に分析した解説書である。理論的なヒントが豊富なだけでなく、読み物としてもたいへん面白い。

原書のタイトルは『ブラインドサイト』。盲視の人は歩くときに、なぜだかわからないけれども特定の障害物を避けなければいけない気持ちに駆られるという。物理的には見えなくても、あたかも見えているかのように歩くことができる。脳内の情報処理能力が働くためである。

一般の人にもこうした無意識の能力がさまざまに備わっている。消費者がものを買うときにも、よくわからないけれどもある衝動に駆られており、そこにはブラインドサイトが作用している、というのが本書の視点である。

そうした無意識の自分の衝動に納得できれば問題ないが、そもそも自分の欲求や快楽が何であるかを見定めることは難しい。

共感力を作動させ、商品の購買に誘導

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