婚活市場は女性がお客様、男は単なる陳列棚の商品 東京都立大学大学院准教授 高橋勅徳氏に聞く

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たかはし・みさのり 1974年生まれ。神戸大学大学院経営学研究科博士課程後期課程修了。沖縄大学専任講師、滋賀大学准教授、首都大学東京大学院准教授を経て現職。専攻は企業家研究、ソーシャル・イノベーション論。共著書に『制度的企業家』『ソーシャル・イノベーションを理論化する』。(撮影:風間仁一郎)
婚活戦略 - 商品化する男女と市場の力学
婚活戦略 - 商品化する男女と市場の力学(高橋勅徳 著/中央経済社/2530円/124ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
40代という年齢以外、文句なしのハイスペック男性である著者は、2年半後ズタボロ状態で婚活市場から撤退した。あくまで男性視点という注釈付きで、著者が捉えた婚活市場は、陳列棚に並べられた商品群としての男性と、それらを妥協なく比較し、試し、選んでいく女性という構図だった。最後に著者が出した答えとは。

男女双方に理不尽なルール 未婚化止まらず行き詰まり

──婚活パーティー、結婚相談所での生々しい実体験ルポ、読んでいてかなり寒々しかったです。

たとえ高収入・安定職種でも、同じスペックならイケメン30代男性が圧勝。「いいね!」をくれた相手全員に機械的に申し込んでみたら、最後にブランド品をねだられて終了。唯一、結婚前提の交際を申し込むまで行った女性は、自分の価値を再認識し、さらに上狙いへと旅立った。

女性たちは結婚相手として必要な情報だけ聞き出し、「無価値」と判定したら即シャットダウン。会話が弾んだ後LINEでお礼メッセージを送ると、既読スルーじゃなくて未読スルー。

相談所の担当者に「何が悪かったかPDCAを回しましょう」と言われても、学習のしようがない。でも、それが許される場所なんです。

──女性会員にとって快適な場にすることで成婚数を上げる。そのルールは崩せない?

データベース化された出会いの場で女性が比較検討して男性を選び、男性は選ばれる関係が固定化している。婚活パーティーで男性は年収、年齢、身長、職業など条件が設定され、女性は下手すると年齢くらい。細かな条件で相手を選べるのは女性で、男性は自分の所に来て会話してくれた人としか交流できない。ゲームバランスが男性にとって不利になりすぎています。人生を振り返って、これほど女性から理不尽かつ過酷な目に遭わされたことはなかった。

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