アルツハイマー病研究、主流派への渾身の告発 『アルツハイマー病研究、失敗の構造』など書評3冊

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ブックレビュー『今週の3冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『アルツハイマー病研究、失敗の構造』

・『平成災害復興誌 新たなる再建スキームをめざして』

・『中小企業経営者のための賃金戦略』

『アルツハイマー病研究、失敗の構造』カール・ヘラップ 著
『アルツハイマー病研究、失敗の構造』カール・ヘラップ 著/梶山あゆみ 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・サイエンスライター 佐藤健太郎

いま最も切実に治療法が求められている病気といえば、アルツハイマー病以外にないだろう。患者数は世界で5000万人を超え、患者のケアに要する費用は1兆ドルにも及ぶ。だがこの30年というもの、治療薬開発は遅々として進まず、世界の製薬企業が行う臨床試験はことごとく失敗の憂き目を見てきた。

膨大な費用とマンパワーが投じられてきたこの分野で、研究者たちはなぜたった1つの新薬さえも生み出すことができなかったのか。本書は、長年アルツハイマー病研究に携わってきた著者の、渾身の告発の書だ。

「アミロイド仮説」への渾身の告発 新薬・レカネマブの効果にも疑問

アルツハイマー病患者の脳からは、プラークと呼ばれるねばねばした物質が見つかる。アミロイドβと呼ばれる、タンパク質の断片が集積したもので、これが脳細胞を破壊することで症状が進行する──というのが、いわゆる「アミロイド仮説」だ。

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