ソ連「社会主義的な住まい」の理想と現実を描く 『革命と住宅』など書評3冊

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ブックレビュー『今週の3冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『革命と住宅』

・『「新しい国民皆保険」構想 制度改革・人的投資による経済再生戦略』

・『新入社員は78歳 小さな会社が見つけた誰もが幸せを感じられる働き方』

『革命と住宅』本田晃子 著
『革命と住宅』本田晃子 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・東京都立大学准教授 佐藤 信

大阪の国立国際美術館に「インポッシブル・アーキテクチャー」という展覧会を訪れたことがある。実現されなかった「アンビルト」な建築の図案や模型が並んだ。想像力をかき立てるとともに、私たちが住んだり見たりする建物が、いかにも制約されているように感じたりもした。

実現されなかった建築への注目は国際的な潮流だそうだが、日本における研究の白眉は本書著者のデビュー作にしてサントリー学芸賞受賞作『天体建築論』だろう。著者はロシア建築史を専門としながら、物理的な建築よりも計画や表象に光を当ててきた。

劣悪な住環境とアンビルト建築 「社会主義的住まい」の分裂を描く

「亡霊建築論」と題された本書後半の主題も「アンビルト」建築だ。著者自身が「知名度ほぼゼロ」と記す通り、登場する建築家は無名だが、その図案は驚きに満ちている。

道幅いっぱいに渋滞する広い道路の中央でカッと天を見つめる目のような家、倒壊しても散らばったガラスが空からは建築の形を見て取れる巨大なガラスの塔、などなど。著者はこれら奇想を紹介するのみならず、その批評性を深く読み解いていく。

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