常人の想像を超えた「知の巨人」、立花隆を描く 『神と人と言葉と 評伝・立花隆』など書評3点

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ブックレビュー『今週の3冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『神と人と言葉と 評伝・立花隆』

・『税という社会の仕組み』

・『ジオストラテジクス マンガで読む地政学 世界の紛争・対立・協調がわかる』

『神と人と言葉と 評伝・立花隆』武田 徹 著
『神と人と言葉と 評伝・立花隆』武田 徹 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・本誌コラムニスト 西村豪太

最近は乱発されがちな「知の巨人」という形容は、もともと立花隆のために創出された。雑誌ジャーナリズムの金字塔というべき田中角栄金脈追及から、サイエンスの最先端を描いた『精神と物質』『サル学の現在』のような作品まで、その筆はジャンルの枠を自在に超えた。膨大な読書に支えられた博識は、常人の想像の外にあった。

ファクトとロジック双方を重視 「知の巨人」の挑戦を俯瞰で描く

多面的な業績を残した人物だけに、その全体像を捉えるのは簡単ではない。立花はサイエンスの理解について、科学の専門家から厳しい批判を浴びたこともある。第三者の立場から彼の仕事を俯瞰した本書の登場は画期的だ。

立花の活動に一貫するのは「人類はどこからきて、どこに行くのか」という問題意識である。熱心な無教会派クリスチャンの両親のもとに生まれた立花は高校時代には教会に通い、信仰告白を記した作文も残っている。後年は両親の信仰への反発を強調するようになったが、人知を超えた存在への関心は一貫しており、東京大学の卒業論文のテーマはフランスの神秘思想だった。

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