まるでアクション映画「翻訳書制作」緊迫の舞台裏 『「スティーブ・ジョブズ」 翻訳者の仕事部屋』など書評4点

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ブックレビュー『今週の4冊』

[Book Review 今週のラインナップ]

・『「スティーブ・ジョブズ」翻訳者の仕事部屋 フリーランスが訳し、働き、食うための実務的アイデア』

・『中国はいかにして経済を兵器化してきたか』

・『転がる珠玉のように』

・『テヘランのすてきな女』

『「スティーブ・ジョブズ」翻訳者の仕事部屋 フリーランスが訳し、働き、食うための実務的アイデア』井口耕二 著
『「スティーブ・ジョブズ」翻訳者の仕事部屋 フリーランスが訳し、働き、食うための実務的アイデア』井口耕二 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・校正者 牟田都子

2011年10月、米アップル共同創業者スティーブ・ジョブズの死が報じられた。享年56。同月に刊行された初の(そして唯一となった)公認伝記の邦訳は10日間で100万部を突破する。Ⅰ・Ⅱ巻合わせて900ページ近いこの大著を、「世界同時発売」に合わせて翻訳するというミッションに挑んだのが著者だ。

まるでアクション映画 翻訳書制作、緊迫の舞台裏

ジョブズの関連書を複数翻訳しており、公認伝記も自分がと手を挙げたのが始まりだった。一般に翻訳は出版社からの依頼ありきだが、「取りにいこう」と考えたのだ。それも「全力で」。ゆえに後には引けず、どれほど無理を言われても従うほかない。

世界同時発売のゴールは絶対に動かせないが、版権を取得した段階で原書は完成していない。五月雨式に送られてくる原稿は機密保持のためデータではなく紙のみ。訳稿もメールや宅配便で送ることは禁じられ、手渡し(!)で進行する。本国の都合で二転三転するスケジュール。翻訳書制作の舞台裏が、ハリウッドのアクション映画のような緊迫感をもって語られる。

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