日本のスパイキャッチャーともいわれる外事警察を長年率いた前国家安全保障局長の自伝的著書である。
外事警察は、主に防諜、国際テロリズム対策、大量破壊兵器関連物資等の不拡散などを担う。その歴史は長く、戦前は敵性国家による諜報謀略活動から国益を守ることを任務とした。現在はビジネスの世界でも、企業秘密の漏洩による不正競争防止法違反や経済安全保障上の特定重要物資の管理など、インテリジェンスに関連する事案は多い。だが、一般のビジネスパーソンが防諜の現場に触れる機会は極めて珍しいだろう。
数々の重大事件の裏側
本書は在フランス大使館一等書記官や警察庁警備局の外事情報部外事課長、外事情報部長などを歴任した著者による外事警察の防諜活動に関する一級資料であると同時に、平成の裏面史を臨場感あふれる、ときに情緒的な筆致で描いた読み物でもある。スパイが日本人に偽装する「背乗(はいの)り」に対する捜査や日本の暴力団の国際化にも触れている。
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