「SFとは結局何なのか?」、その歴史や最先端を一望 『サイエンス・フィクション大全』書評

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サイエンス・フィクション大全 映画、文学、芸術で描かれたSFの世界(グリン・モーガン 編/石田亜矢子 訳/グラフィック社/4620円/288ページ)
[著者プロフィル]Glyn Morgan/英ロンドンの科学博物館で開催された「サイエンス・フィクション」展のプロジェクトキュレーター。『ベクター』誌(英国SF協会批評誌)の元編集者。

SF作家・翻訳家・評論家として活動した故・野田昌宏がエッセーに残した言葉に、「SFってなぁ、結局のところ絵だねェ」という有名な言葉がある。SFの文化は文字のみに留(とど)まるものではない。野田氏自身がSFアートの立場向上に大きく貢献し、日本のSFが漫画・アニメ・ビデオゲームなど文字媒体を超えて広がっているように、ビジュアルの魅力は、SFの魅力の1つである。

本書は、そうした「絵」の魅力を存分に使いながら、SFの意義や影響を示す本だ。

「絵」の魅力とSF作家たちの意識を記録

しばしばSFのテーマとされる「人間と機械(ロボットとサイボーグ)」「宇宙の旅」「コミュニケーションと言語(文化)」「エイリアンと疎外感(生物)」「不安と希望(核と気象災害)」の5つに着目し、そこに科学や人文学などの一級の専門家や著名な作家たちが斬り込んでいく。SFが単なる未来予知ではないこと、またSFが人々の革新的なアイデアや研究開発、ビジネスにいたる社会動向をどう刺激してきたかが、豊富な事例とともに示される。

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