SF作家・翻訳家・評論家として活動した故・野田昌宏がエッセーに残した言葉に、「SFってなぁ、結局のところ絵だねェ」という有名な言葉がある。SFの文化は文字のみに留(とど)まるものではない。野田氏自身がSFアートの立場向上に大きく貢献し、日本のSFが漫画・アニメ・ビデオゲームなど文字媒体を超えて広がっているように、ビジュアルの魅力は、SFの魅力の1つである。
本書は、そうした「絵」の魅力を存分に使いながら、SFの意義や影響を示す本だ。
「絵」の魅力とSF作家たちの意識を記録
しばしばSFのテーマとされる「人間と機械(ロボットとサイボーグ)」「宇宙の旅」「コミュニケーションと言語(文化)」「エイリアンと疎外感(生物)」「不安と希望(核と気象災害)」の5つに着目し、そこに科学や人文学などの一級の専門家や著名な作家たちが斬り込んでいく。SFが単なる未来予知ではないこと、またSFが人々の革新的なアイデアや研究開発、ビジネスにいたる社会動向をどう刺激してきたかが、豊富な事例とともに示される。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
ログイン(会員の方はこちら)
無料会員登録
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら