「コウガクメイサイ」「コウセイボウヘキ」……。一発で漢字変換できない語の羅列、今様風歌詞と民族音楽的旋律の融合、日本なのに香港としか思えない背景、そして、世界観、設定が理解できたころには、「生命とは」「人間とは」「記憶は自己存立の基盤たるか」といった重いテーマが突きつけられ終了──。
これが、押井守監督の映画『攻殻機動隊』との出合いだ。爾来(じらい)20年以上、評者はその作品群に魅了され続けてきた。
『攻殻機動隊』とは、士郎正宗による同名コミック、および共通の世界観、設定(公安9課が舞台)、登場人物による作品群を指し、世界では日本のアニメ・マンガ文化の中核の1つとされる。米国の『マトリックス』や『アバター』などにも多大な影響を与えた。
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