本稿執筆時点で、世界の新型コロナワクチン接種は104億回を超えた。このかつてないスピードで接種されたワクチンの開発と生産の多くを担ったのは、ビオンテック社という、パンデミック前までほとんど無名だったバイオベンチャー企業だ。
本書は、新聞記者が同社創業者夫妻、エズレム・テュレジとウール・シャヒンや、多くの関係者にインタビューを重ねて書き上げたものだ。
それまでがん治療法の開発を主業務としていた同社が、いかにしてプロジェクト開始から臨床試験入りまでわずか88日という奇跡的なスピードでのワクチン開発を成し遂げたのか、その秘密が余すところなくつづられている。
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