西洋近代の産物ではない、「言論の自由」の歴史描く 『ソクラテスからSNS 「言論の自由」全史』書評

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『ソクラテスからSNS 「言論の自由」全史』ヤコブ・ムシャンガマ 著
ソクラテスからSNS 「言論の自由」全史(ヤコブ・ムシャンガマ 著/夏目 大 訳著/早川書房/5390円/576ページ)
[著者プロフィル]Jacob Mchangama/シンクタンク「ユースティティア」CEO。米ヴァンダービルト大学研究教授。「個人の権利と表現のための財団(FIRE)」シニアフェロー。言論の自由と人権について、多くのメディア・専門誌に寄稿、コメントを行っている。本書が初の著書。

「言論の自由」とそのゆきすぎは、どこで線引きされるべきか。SNS(交流サイト)を眺めるたび、これこそが現在最も注視すべき問題の1つだと痛感する。

政府による言論弾圧はもってのほかだ。自由闊達な意見が飛び交うことで権力の一極集中を回避でき、イノベーションも起こりやすくなる。寛容な心で議論を重ねることは、民主の根幹だ。

言論の自由に関する歴史

一方、負の側面もある。議論が白熱すれば、そこから誹謗が出てくるかもしれない。他人には気に入られたいし、集団から疎外されるのもイヤだ。不快な発言をする人間には黙っていてほしい──。SNS上の中傷合戦を見ると、評者としては「ゆきすぎた言論の自由」を少々規制してほしく感じることもある。しかし、どうすればよいのか。

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