自分、家族、社会にとって「望ましい死」とは何か 『死を生きる 訪問診療医がみた709人の生老病死』書評

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『死を生きる 訪問診療医がみた709人の生老病死』小堀鷗一郎 著
死を生きる 訪問診療医がみた709人の生老病死(小堀鷗一郎 著/朝日新聞出版/2420円/224ページ)
[著者プロフィル]小堀鷗一郎(こぼり・おういちろう)/医学博士。1938年東京生まれ。東京大学卒業。東京大学医学部附属病院、国立国際医療センターに外科医として勤務。定年退職後、埼玉県新座市の堀ノ内病院に赴任。訪問診療医として700人以上の看取りに関わる。母は小堀杏奴、祖父は森鷗外。

かつては自宅で最期を迎えることが一般的で、病院死はまれだった。それが逆転した現在、「自分も家族もいずれ死ぬ」という実感は薄れて遠い存在となり、やがて忌むべきもの、目を背けたくなるもの、になった。

しかし本書は死と正面から向き合う。死期の迫った患者たちが、時に自覚的に、時に家族や医師、行政、大家の「都合」に翻弄されながら、日々をどのように過ごしたのか。すでにこの世にはいない先人たちの体験を、80代の訪問診療医・小堀鷗一郎が綴(つづ)った貴重な記録だ。

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