働き盛りの大腸がん患者の余命が残り少ない。本人は事前に余命を知りたいと意思表示しているが、家族は「本人には余命を伏せておいてほしい」と言う。このとき、担当医師は一体どうするべきか。簡単には答えの出ない、こうした「もやもや」する臨床現場の課題について、8つのケースを取り上げる。
現場の「もやもや」を専門家が考察
本書では、がん治療の最終段階、すなわち緩和ケアに日々携わる医師と、生命倫理と社会学を専門とする研究者の2人が、それぞれの知見から対話形式で現場の「もやもや」事例を考察する。
想定されている読者は主に医療者だろうが、一般の読者や患者になりうる立場の人が読んでも十分わかりやすい、平易な話し言葉の書き振りだ。著者らの軽妙なやり取りは、人生の最終局面における患者と家族の複雑な葛藤や矛盾を、読者にとってアプローチしやすい印象にしている。
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