元軍人ならではのリアリズムで「AI覇権」を考察 『AI覇権 4つの戦場』など書評4点

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ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『AI覇権 4つの戦場』

・『2004年のプロ野球 球界再編20年目の真実』

・『アニメオタクの一級建築士が建築の面白さを徹底解剖する本。』

・『ペンギンは歴史にもクチバシをはさむ 増補新版』

『AI覇権 4つの戦場』ポール・シャーレ 著
『AI覇権 4つの戦場』ポール・シャーレ 著/伏見威蕃 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・経営共創基盤共同経営者 塩野 誠

生成AI(人工知能)の一種であるチャットボット・ChatGPTは、今では日常的に使われている。初めて見たときの衝撃は薄れ、多くの人がもはやこの技術に慣れてしまったかもしれない。ここ10年のAIの発展は人間の想像を超えるものがある。本書によれば最先端の機械学習の訓練に使用される計算力は、2010〜22年の12年間で100億倍に増大した。

AIは日々進化しており、人間はすでにチェスや碁でAIに勝てない。では軍事分野ではどうか。

国家のパワーとしてのAI 元軍人のリアリズムで考察する

戦闘機同士の戦闘シミュレーションにおいて、AIは人間の肉体では耐えられない動きをしつつ、人間には不可能とされる射撃によって人間を殺す。人間はもうAIとの戦闘に勝てないのだ。航空機の性能にとって、人間の肉体は制約でしかない。人間の指揮官の認知能力は作戦の障害となるが、AIなら無数の群生行動を同時に指揮できる。

元米陸軍のレンジャー部隊員であり、現在シンクタンクで軍事アナリストを務める著者は、膨大な資料に基づき本書を執筆した。AI活用が軍事分野を根本的に変える可能性からAI覇権をめぐる米中の最新の動向までを考察、詳述している。

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