世界金融市場の頂点に立つ投資銀行の過酷な現実 『ゴールドマン・サックスに洗脳された私』など書評4点

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ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『ゴールドマン・サックスに洗脳された私 金と差別のウォール街』

・『地域医療の経済学 医療の質・費用・ヘルスリテラシーの効果』

・『らく速読 脳科学が証明した世界一カンタンですごい読書術』

・『国家の命運は金融にあり 高橋是清の生涯(上下)』

『ゴールドマン・サックスに洗脳された私 金と差別のウォール街』ジェイミー・フィオーレ・ヒギンズ 著
『ゴールドマン・サックスに洗脳された私 金と差別のウォール街』ジェイミー・フィオーレ・ヒギンズ 著/多賀谷正子 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・医療社会学者 渡部沙織

著者のジェイミー・フィオーレ・ヒギンズは、1998年にウォール街のゴールドマン・サックスに金融アナリストとして入社した。労働者階級のイタリア移民の子孫で、彼女が名門女子大学のブリンマー大学で数学専攻の学位を取る費用を両親は苦労して工面した。

マンハッタン島の対岸、ニュージャージー州の実家住まいのまま、オフプライス衣料品店で購入した吊るしのスーツを着て、ウォール街の金融市場の中核に突如放り込まれた。本書は、2016年までの18年間の勤務経験を基に、プライバシーに配慮し仮名加工した作品だ。

世界金融市場の頂点に立つ投資銀行の過酷なカルチャー

マーケットが開く前に準備を完了するため毎朝6時にはオフィスに到着。深夜どころか翌日の朝方に帰宅するような過酷な労働環境だ。限られたポストを巡って同僚同士の熾烈な争いが展開し、強烈なプレッシャーにつねに耐え続けなければならない。平日は家族とほとんど会うこともなく、文字通りすべてを捧げることを要求される。

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