金利の「温度計機能」が麻痺、低金利政策への批判 『金利 「時間の価格」の物語』など書評4点

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ブックレビュー『今週の4冊』

 

[Book Review 今週のラインナップ]

・『金利 「時間の価格」の物語』

・『検証 大阪維新の会──「財政ポピュリズム」の正体』

・『人類学者のレンズ 「危機」の時代を読み解く』

・『忘却の効用 「忘れること」で脳は何を得るのか』

『金利 「時間の価格」の物語』エドワード・チャンセラー 著
『金利 「時間の価格」の物語』エドワード・チャンセラー 著/松本剛史 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)

評者・東京都立大学教授 松岡多利思

金利とは何か。金利の役割とは何か──。本書は、資本主義が誕生するまでの金利にまつわる歴史的議論を紹介し、数々の経済的問題が超低金利によって大きく助長されたことを説く。著者が前著のテーマとしたバブル関連のエピソードも豊富だ。

金利の「温度計機能」が麻痺 低金利政策への手厳しい批判

金利(利子)の歴史は古く、先史時代にまでさかのぼる。貨幣が現れる以前の経済は信用取引が支配的だった。穀物や家畜の貸し借りが部族間で日常的に行われる中、貸し出しへの報酬として金利が生まれたと考えられる。

金利の語源は「家畜の子孫」に端を発し、例えば古代ギリシャ語の金利は子牛を意味する「tokos」だ。メソポタミア人は粘土板に借金の記録を多く残し、ハンムラビ法典には金利に関わるさまざまな決まりが記されている。

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