長期金利は、このところ部分的な後退が見られるとはいえ、政策当局が慣れきった超低水準を大きく上回る状態が続いている。インフレが落ち着いたとしても、金利はこうした水準にとどまる公算が大きい。「政府の借金はタダ」という広く流布している説を見直すには遅すぎるくらいだ。
借金はタダではない現実
不況期には政府が大幅な財政赤字で経済を支え、平時にも小規模な財政赤字でそうするべきだと多くの人々が信じるようになった背景には、低金利が永遠に続くという発想があったように思われる。こうした人々の中に、インフレや金利上昇のリスクを気に掛ける人は皆無のようだった。
中でも間違っていたのは、中央銀行を使って国債を買い上げる政策だ。短期金利がゼロだったときには、そのコストはゼロであるかのように見えた。政府の財政はどれだけ借金しても破綻しないとする「現代貨幣理論(MMT)」や景気対策のために中銀は大量のマネーを市中にばらまくべしとする「ヘリコプターマネー」の核心にあるのが、この政策アイデアだ。
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