[Book Review 今週のラインナップ]
・『家を失う人々 最貧困地区で生活した社会学者、1年余の記録』
・『副業おじさん 傷だらけの俺たちに明日はあるか』
・『パリの「敵性」日本人たち 脱出か抑留か 1940–1946』
評者・神戸大学教授 砂原庸介
米国の極貧層についての詳細なルポルタージュというと、興味は引かれるけれども自分とは関係がないと思う人が多いかもしれない。しかし、人生のよりどころとなる「家」をテーマとする本書の内容は、私たちにとって決してひとごとではない。
貸し手と借り手のバランスの不全 スラムに追いやられる貧困層
本書が描き出すのは、自分の家であった住宅からの「立ち退き」を強制される人々である。家賃の滞納などを理由に一度強制退去の対象になると、所有物の多くを放棄することを迫られ、通常の賃貸住宅への入居が難しくなる。その結果、スラムと呼ばれる劣悪な住宅に、高い家賃を払って身を寄せるしかない状況に追い込まれる。
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