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〈詳報記事〉ホスピス住宅最大手・医心館に「がんの父」を託した娘の疑問。転移なし・ステージ2なのに末期がん扱いで訪問看護、会社側は不正を否定

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末期がんや難病患者を受け入れるホスピス住宅「医心館」を運営するアンビスホールディングス。急成長の裏で何が起きているのか。

東証プライム市場に上場するアンビスホールディングスは、ホスピス住宅と呼ばれる有料老人ホーム「医心館」を全国に展開している(編集部撮影)

末期がんや難病の人を受け入れる有料老人ホーム、ホスピス住宅。その最大手、アンビスホールディングスが運営する「医心館」で、末期がんとはいえない利用者を末期がんとして訪問看護を行い、診療報酬を請求していた疑いがある。利用者の主治医を務める訪問診療医の関与があった可能性もある。

「どうして父をあそこに入れてしまったのか、本当に後悔しています」

この春に父親(80代後半)を亡くした三隅佳代子さん(仮名)はこう語る。父親は生前の一時期、ホスピス住宅「医心館」を利用していた。そこで、思わぬ事態に巻き込まれた。ステージ2のがんを切除し、転移もなかった父親が、医心館へ入った途端に「末期がん宣告」されたのだ。

佳代子さんの父親は、2023年11月に総合病院で直腸がんの手術をした。がんを切除したことで人工肛門(ストーマ)をつけることにはなったが、転移もなく、化学療法も受けずに経過観察となった。父親の希望もあり、病院からは入院から1カ月半ほどで退院するよう促された。

父親は退院後に自宅へ帰りたがったが、佳代子さんは高齢者施設に入居してもらうことを検討した。平日は仕事があり、父親と高齢の母親が2人きりで過ごすことに不安があった。

「ここなら、いつでも受け入れてくれるようですよ」

病院から紹介されたのが、茨城県内の医心館だった。運営するのは東証プライム市場に上場するアンビスホールディングス。全国に128施設(2025年7月末の予定)を展開する、ホスピス住宅の最大手だ。

医心館の利用者は8割超が「末期がん」

ホスピス住宅は末期がんやパーキンソン病といった難病患者に特化して受け入れ、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの形態を取る。中でもアンビスの運営する医心館は8割超と末期がん患者の比率が高いのが特徴だ。

利用者は家賃などを支払って個室で生活し、施設内に併設された自社の訪問看護・訪問介護事業所が24時間体制でサービスを提供する。一方、医師による訪問診療やケアマネジャーによるケアプラン作成は、原則自社で抱えずに社外にアウトソースしている。

総合病院から医心館に連絡が行くと、営業を担当する看護師が父親との面会にやってきた。面会後、すぐにこの看護師から電話がかかってきて「当施設でお受けできそうです」と話はすんなり進んだ。佳代子さんは施設へ見学に行き、料金などの説明を受けたうえで入居を決めた。退院までに日がなく、ほかの施設を検討する余裕はなかった。

こうして12月末、父親は総合病院を退院したその足で医心館へと向かった。ところが、入所初日からおかしなことが相次ぐ。

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