
「そんなものだろう」と驚きない
――ホスピス住宅大手で、不正に高額な診療報酬を請求する行為が蔓延しています。
「そんなものだろう」と驚きはない。ホスピス住宅は“儲かる”という点に注目が集まり、急速に広がってきた業態だからだ。
医療や介護の仕事はまじめにやっていては儲からない。病院の半数は赤字だし、経営難の介護事業者も多い。もちろん経営が未熟で利益を出せていないという側面はあるだろう。だが、たとえばホスピス住宅最大手のアンビスホールディングスの営業利益率は約25%だ。異常なまでに高い。
なぜここまで収益性が高いのか。
1つは、入居する患者を病気の種類によって選別しているからだ。ホスピス住宅の施設類型は「住宅型有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」だが、末期がんやパーキンソン病などの難病患者に絞って受け入れており、普通の高齢者は基本的に入れない。
ここがポイントとなる。要介護者が訪問看護を使う場合は通常、要介護度によって変わる介護保険の利用上限額がある。訪問看護は1回あたりの点数が高いため、ヘルパーさんに来てもらう訪問介護も併用しているような利用者は、そう何回も訪問看護を入れられない。
ところが、末期がんや難病という条件がつくと介護保険ではなく医療保険で訪問看護を提供できるようになる。しかも、利用量の上限も取り払われる。必要があれば、毎日、1日3回まで診療報酬を請求することが可能だ。
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